2021.11.12

【塾長コラム】国語力を養うために

これまで、学習指導要領が新しくなったことや、入試制度が変わること、教科書が改訂されたことなどに触れてきました。激しい変化の中で、変更点が見えにくく、話題にもあがりにくい『国語』のことを忘れてはいけません。教科書を見ても、英語ほどの変化はありませんが、国語を学ぶ上での構成が変化しています。一番大きな部分では、「自分の意見を持とう」というところになります。今までは、文章を読んだ上で、「筆者の考え」や「登場人物の考え」など、そこに書いてある内容についての問いが多くありました。しかしそれが、「文章に書いてあることを踏まえて、あなたならどのように考えますか」といったような、小論文に近い解答を求められるような学び方になっています。

そのような解答をつくるうえで必要になる力として、「話すこと・聞くこと」「書くこと」「読むこと」は最低限必要なものであり、そこからさらに「自分の考えを形成し、表現すること」が必要になります。

では、どうやって身に付けるのか、私見ではありますが、お伝えしようと思います。

 

■国語力を養うために

国語力は語彙力・読解力・要約力と大きく3つの力に分けられます。この3つの力をバランス良く高めていくことで『国語力』が高まっていきます。

【①語彙力】

先日、グランアシストの教室内で中学1年生から「盆踊りって何?」という質問を受けました。その場にいた小・中学生に聞いたところ、8割の生徒が『盆踊り』を知りませんでした。この『盆踊り』に関しては、国語の勉強をしている時に出て来たものではなく、学校で使用している英語の教科書に出て来ていたものです。ということは、中学1年生では知っていることを前提として出されています。知っているはずの言葉を知らないと、授業を受けているときに、何の話をしているかがわかっていないということが起こります。多くの語彙を知らないと、至る所で理解に苦しむことになります。

語彙力は、日常の会話の中で知ることや、本を読んだり、テレビを見たりする中で身についていきます。語彙に触れる機会をたくさん持つことが重要になります。語彙力がつかないような本・テレビ番組などもあるので要注意です。

【②読解力】

「本を読めば読解力がつく」と思うのは危険です。たしかに、本をたくさん読むことで読解力がつくことはあります。作者の心情が理解できていたり、描写されている情景が頭の中で浮かんでいたり、登場人物と同じ気持ちになっていたり、書いてあることを深く理解しようとしたりと、という作業が自然とできていたら、読解力がつくでしょう。ただ読んでいるだけの状態や、よくわからないまま読み進めていては意味がありません。先述の通り「読みながら思い描く」ことや「読みながら考える」ことが重要で、2つ以上のことを同時に行う器用さや思い描くための想像力が必要になります。

【③要約力】

要約は、文章の要点をまとめ、短く表現するものです。ちなみに、似ているもので「あらすじ」がありますが、あらすじは漢字で書くと「粗筋」となり、話の流れに沿って、ざっくり表したものになります。要約をするには、文章に書かれている情報をまとめる力と表現する力が必要になります。

 

語彙力・読解力・要約力はすべて結びつきがあり、すべての力を養うには、小さなころからたくさんの実のあるものに触れることが大切です。本を読む場合は、たくさん読むことも大切ですが、いろんなジャンルの本を読むようにするのが重要になります。